日本BEAシステムズは3月24日、通信事業者向けのアプリケーション・サーバーを、遅くとも今年中に出荷することを発表した。製品名は「BEA WebLogic Communications Platform」。米国本社で通信業界を担当するクリス・キング シニア・ディレクターは「当社にとって、まったく新しい分野の製品」と述べる。米国では今年2月に出荷を開始したが、国内の出荷日、価格、販売方法などは未定。

 WebLogic Communications Platformは「BEA WebLogic SIP Server」と「BEA WebLogic Network Gatekeeper」の2製品からなる。WebLogic SIP Serverは、IP電話を実現するために必要な「SIPサーバー」の機能をJ2EEのWebアプリケーション・サーバー上で実現したもの。IP電話を実現するための処理を記述したアプリケーションである「SIPサーブレット」とJavaサーブレットの両方を動作させることができる。

 メリットは、SIPサーバー上のアプリケーションをJavaで開発できるため、新たな機能を追加しやすいこと。例えば、複数のユーザーが携帯電話を介してお互いの所在地や状態など(プレゼンス)を確認しあう機能や、音声の通話内容を履歴としてサーバー上に管理する機能を、Javaで開発できる。これまで、こうした機能はSIPサーバーのメーカーが独自に用意することが多かった。

 さらに、WebLogic SIP ServerはJ2EEのWebアプリケーション・サーバーでもあるため、一般的なSIPサーバーよりも、顧客管理システムなど他のシステムと連携するプログラムの開発が容易だ。一般的なSIPサーバーでは他のシステムとの連携のために変換用プログラムを別途作らざるを得ない。WebLogic SIP Serverでは、他のシステムとの連携部分に、標準化団体が策定したAPI「Parlay」を使う。

 もう一つの製品である「BEA WebLogic Network Gatekeeper」は、アプリケーションが動作するために必要なネットワーク帯域を自動で確保するためのミドルウエアだ。ただし、米国でもまだ開発中の製品である。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ