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ライト・アップの白石氏 「これからはユーザーが自分自身で情報を選択する時代になる。企業の情報配信はRSS、Webサイト、メール・マガジンの3本柱になるだろう」。主にWebコンテンツを企画・制作・運用するライト・アップの代表取締役を務める白石崇氏(写真)は、今後RSSが企業の情報配信の要になると主張する。

 RSS(Rich Site Summary)は、Webサイトの見出しや要約などのメタデータを記述するXML仕様の一つ。米ネットスケープが社内ポータルで記事を配信するために開発し、1999年3月に公開した。以前はポータル・サイトでしか使われていなかったが、ブログの普及とともにRSSに対応するサイトも増えた。

 すでにブログが普及している日本でも、RSSの認知度は高くない。RSSリーダーの利用者は増えているものの、Webブラウザ利用者のわずか4.7%という調査結果もある。しかし白石氏は、「RSSリーダーの機能がWebブラウザに統合されれば普及率は高くなる。メール・マガジンに比べて、情報の更新頻度に制約がないし、メール・アドレスなどの個人情報が漏れる心配もない」と、メール・マガジンの代わりにRSSが使われる可能性もあると話す。

 一方で、RSSの普及には問題もある。RSSに対応したWebサイトが増加すると、情報過多になる可能性が高い。その中から自分のほしい情報を取り出すのは困難だ。また、トラフィックの問題も深刻化する恐れがある。「すでに米国では、人気ブロガー(ブログで記事を書く人)がレンタル・サーバーの利用を断られるケースが出ている。トラフィックの増加を招くからだ」(白石氏)。

 こうした問題があるものの、白石氏はRSSは企業の情報発信手段として早晩、定着するとの見方を示す。「ブログは1日1万サイトずつ増えている。今年末には500万サイトに達するだろう。現在、RSSを利用している企業は、この技術に詳しいWeb担当者がいるところに限られている。しかし、ブログが多くのユーザーの目に触れて効果が理解されるようになれば、RSSの導入が当たり前になる日も近い」(白石氏)。

安藤 正芳=日経コンピュータ