米IBMでシステムの仮想化を担当するバイスプレジデントのナイジェル・デッソー氏は3月17日、報道機関向けセミナーで「ユーザー企業がすべてのシステムを仮想化するのは、2年後に3割」との見方を明らかにした。仮想化の実現には、「企業が組織横断的にシステムを柔軟に考えられるかどうかが要で、製品の投入だけでは難しい」ことを理由に挙げた。

 同社が打ち出すオンデマンド・ビジネスの実現では、仮想化が不可欠。「この10年、サーバーへの新規投資額は変わらないが、管理コストは9倍にもなっている。仮想化はIT環境をシンプルにしコストを抑制できる」(デッソー氏)からだ。だが現状は、「ようやく9割の企業が、同種類のサーバーをまとめ始めたところ」という。

 仮想化をIBMは、四つのステップに分けている。IAサーバーなど同種類のサーバーをまとめるのは第1段階。「2年後に3割」と見る仮想化は、種類が異なるリソースを一元管理する第2段階に位置付ける。第3段階は、全社に最適化した企業内のグリッド・コンピューティング、そこに顧客やパートナー企業との連携を含むのが第4段階になる。

 ユーザー企業の仮想化や第3段階、第4段階への取り組みを加速化するために、米IBMは今年、先進システム事業部を立ち上げた。同事業部は、例えば仮想化では「Virtualization Engine」をブランド名に打ち出し、サーバーやネットワーク、ストレージを一つの集合体として論理的に管理できるようにする。メインフレームの論理パーティショニング機能や統合管理ツール「Tivoli」のプロビジョニング機能などを取り込んでいる。

岡本 藍=日経コンピュータ