CDCソフトウェア本社のラロン社長兼CEO

 ERP(統合基幹業務システム)ソフト事業などを手掛ける中国のCDC(チャイナドットコム)ソフトウェアの日本法人は6月、テクニカル・サポート・センター(TSC)を開設する。中国市場でのビジネス展開に向けて、まず日本市場で足場を固めるのが狙い。

 TSC開設は、2月の日本法人設立に続く日本市場開拓策の一環。プロセス系ERPソフトiRenaissance(米ロスシステムズ製)の国内総販売代理店である横河情報システムズ(YIC)と共同で運営する。TSCを拠点に、ユーザーや販売会社へのサポートを強化するとともに、パッケージの日本市場対応や業種別テンプレートの開発を加速する。加えて、YICが得意とする化学産業とは別に、iRenaissanceの主要ユーザー層である食品・一般消費財産業への営業を強化する。

 日本市場開拓に力を入れる理由を、CDCソフトウェア本社のジェームス・ラロン社長兼CEO(最高経営責任者)は「中国市場で成功するためには、欧米と日本の両市場でのビジネス基盤確立が不可欠なため」とする(写真)。米マイクロソフトの日本法人などで営業を束ねてきたラロン氏によれば、中国市場を視野に入れた欧米ベンダーは「国別に競うため日本と中国を跨ぐ戦略は採れない」とする。その間隙を突き「日本で顧客開拓し、中国拠点にインプリする」戦略を採る。

 そのため、中国に2~3年前に進出した企業をターゲットに、現地でのIT化を支援する「レスキュー・サービス」を立ち上げる計画だ。中国固有の経理処理や、日本側とのシステム連携などで成果を上げていないケースが多いと見るからだ。

 CDCソフトウェアは、中国のITサービス会社大手のCDCグループでパッケージ事業を担う中核会社。自社で人事、会計・給与の両パッケージを開発するほか、米ロスシステムズや、CRM(顧客関係管理)ソフトのPivotalを開発・販売する加ピボタルを買収し、製品ラインナップを広げてきた。今後3年間は、日本法人の人員数と売り上げを毎年倍増させたいとしている。

志度 昌宏=日経コンピュータ