「当社の製品は2年以上の実績がある。他社は追随できない」。ESB(エンタープライズ・サービス・バス)製品の開発・販売を手がける米ソニック ソフトウェアのデイビッド A.チャペル バイスプレジデント兼CTE(Chief Technology Evangelist)(写真)はこう豪語する。

 ESB製品は、「サービス」という単位に分割した複数のアプリケーションを連携させるミドルウエア。プロトコル変換、データ変換、メッセージのルーティングといった機能を持つ。WebサービスやJavaといった技術を全面的に採用する。SOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現する有力なツールとして注目されている。

 有力ソフトウエア・ベンダー各社はこの1年ほどで相次いでESBを製品化している。例えば、ウェブメソッドやシービヨンド・テクノロジーなどのEAI(企業アプリケーション統合)製品ベンダーは従来の製品を拡張してESB機能を実現した。米IBMはWebアプリケーション・サーバー「WebSphere V6」にESB機能を追加している。

 チャペル バイスプレジデントは、これら他社の製品を冒頭のように切って捨てる。「例えば、ある『サービス』が何らかの原因で停止した場合、待機させておいた『サービス』が処理を受け継ぐ、フェイル・オーバー機能を持っているのは当社だけ。ハードウエアのクラスタリング構成にして処理を受け継ぐ場合は最低でも十数分かかるだろうが、当社製品のフェイル・オーバー機能ならばソフトウエアで処理するため、10秒以下だ。トランザクションの最中に障害が起きても整合性を保てる。今回発表した新製品で、差はさらに広がった」(同氏)。

 ソニック ソフトウェアは3月8日からESB製品の最新版である「Sonic ESB 6.1」の出荷を開始した。6.1では、デプロイメント・ツールの操作性を向上させたほか、Webサービスとの連携を強化した。従来は、ESBからWebサービスを呼び出す際にWebサービス側を一部改変しなければいけなかった。今後はその手間がなくなる。

 このほか、新たに別売のオプションを二つ用意した。追加したオプションはebXMLやRosettaNetなどのBtoB(企業間電子商取引)向けプロトコルを使用し、社外の取引先との連携を強化するための「Sonic Collaboration Server」と、主要なデータベース・ソフトで管理されているデータをESBを通じて直接利用できるようにする「Sonic Database Service」。ESB本体の価格は旧版と変わらず、1プロセサ当たり187万5000円から。二つのオプションの価格は未定だが、ほぼESB本体と同じくらいになる予定。

(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)