「ITに関連する法律は増える一方。ところが、法規制は法律の専門家の発想で作られたもの。情報システム部門が対策を立てるためには、最低限の法律の知識を身に付ける必要がある」。ITに詳しい銀座第一法律事務所の大谷郁夫弁護士は、こう指摘する。

 実際、ITに関連する法律は年々増加している。例えば、2000年施行の不正アクセス禁止法や今年4月施行の個人情報保護法などは、情報システム部門が中心となって対策を立てなければならないものだ。「情報システムの利用者にITリテラシが必要なように、情報システム部門には法律を順守するための“リーガル・リテラシ”が求められている」と、大谷弁護士は話す。

 このような発想から、法律と情報システム部門の橋渡しをするサービスに大谷弁護士は協力している。法律に関するITコンサルティング・サービスを手がけるITリーガル・イニシアティブが3月2日から提供している「SECURITY-LAW.JP」がそれである。

 SECURITY-LAW.JPは、情報システム部門の担当者向けに向けて、法律を学ぶためのコンテンツを提供するWebサイト。現在、個人情報保護法対策向けに「初級編」、「中級編」、「実践編」の3種類の有償サービスを提供している。各サービスは(1)eラーニング、(2)FAQ(よくある質問)サイト、(3)スキル評価用のテスト、の三つのコンテンツで構成する。

 大谷弁護士は同サイトで、質問に対する回答、eラーニングのコンテンツ作成、個人情報保護法の順守に必要な文書の作成などを担当している。ただし弁護士法によって、個別の質問には回答できないので、質問に対しては類似質問をまとめたFAQ形式で回答する。大谷弁護士は、「このサービスを通じて、情報システム部門のリーガル・リテラシの底上げを支援したい」と話す。

 料金は、企業内で個人情報保護法対策業務にかかわる人向けの初級編が7万5000円。各部署単位の対策責任者向けの中級編が25万円。個人情報保護法対策の管理組織向けの実践編が20万円。中級編には上記の三つのコンテンツのほかに、個人情報保護法で完備しなければならない文書の書式集が付く。

島田 優子=日経コンピュータ