「日本企業には20年以上培ったIT投資プロセスがあり、それに合わない海外のツールをそのまま持ってきても適用できない」と、テスト・ツールや運用管理ツールを販売するマーキュリー・インタラクティブ・ジャパンのウィルソン・タン代表取締役(写真)は説明する。

 同社は2003年11月に、IT投資の意思決定や投資するプロジェクトの状況を管理するITガバナンス・ツール「IT Governance Center」を発表したが、現時点でまだ製品を出荷していない。その理由として河野真一マーケティング部ディレクターは「日本におけるIT投資の管理プロセスに適する標準化テンプレートを作成しているため」と述べる。

 海外では、ERPパッケージを用いたシステムの開発などプロジェクトの内容に合わせて標準テンプレートをいくつか用意している。しかし同社が1年以上調査した結果から、米国製のテンプレートは日本企業に合わず、多少のカスタマイズでは済まない、と判断した。

 ただ、同社はシステムのライフサイクル全体をカバーできるITベンダーを標ぼうしており、その一角をなすITガバナンス・ツールを早く市場に投入したい考えだ。「2006年にはなんとか出荷する」と河野ディレクターは強調した。

森側 真一=日経コンピュータ