「システムの再構築に当たっては、日本企業のシステムに多く残るCOBOLアプリケーションをできる限り利用すべきだ」。「NetExpress」や「Server Express」など、Windows上やLinux上などオープン環境で稼動するCOBOLアプリケーションの開発・実行環境を開発、販売している英マイクロフォーカスのトニー・ヒル社長兼CEO(最高経営責任者)は、こう主張する。

 一から再構築するよりも、COBOLアプリケーションを利用すべき理由を、ヒル社長は三つ挙げる。具体的には、(1)既存のCOBOLアプリケーションをオープン環境に移植したほうが、開発コストを安くできること、(2)めまぐるしく変わる経営環境下で、アプリケーションを素早く構築できること、(3)これまで稼動してきたアプリケーションゆえに、不具合を起こすリスクを低くできること、である。同氏は、「実際、既存のCOBOLアプリケーションを流用することで、一から構築した場合と比べて、30%ほど生産性が向上した実績もある」と語る。

 「確かにメインフレーム向けの開発言語としては便利だったかもしれないが、COBOLで開発したアプリケーションは最新技術に対応していないのではないか」という批判についても、ヒル社長はこう否定する。逆に、「COBOLアプリケーションの価値は、ここにきてむしろ見直され始めている」と語る。「NetExpressやServer Expressを利用すれば、オープン環境でCOBOLアプリケーションを稼働できるだけでなく、Webサービスとして呼び出せるようになる。COBOLアプリケーションの流用が、現在普及しつつあるSOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現する最も現実的な手段であるということに、ユーザーが気づき始めている」というのがその根拠だ。

 ヒル社長は、「COBOLアプリケーションが企業で利用される場面はまだまだ多い。我々は、それをより使いやすくする環境をこれからも提供していきたい」と語った。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)