ジャスダック証券取引所の取引所システムが2月9日朝に停止し、取引開始が1時間20分遅れたことについて、JASDAQは取引所システムが持つ自動監視機能の設定が原因だとする調査結果を公表した。2月23日の定例記者会見で、小林繁治常務取締役が説明した。

 問題の自動監視機能は、取引所が開く前に受け付けている買い注文に対する取り消し処理が滞ることなく処理されているかどうかを確認するための仕組み。取り消したはずの買い注文が実際に市場に出るのを防ぐため、取り消し処理が2分以上、滞るとシステムを停止させる。ところが9日朝は、1銘柄に対し3000件という通常の10倍以上の取り消しが押し寄せたため2分以上処理が滞り、システムが停止した。

 1銘柄に対し3000件の取り消し指示を出した証券会社が1社だったこともあり、障害発生時にJASDAQは「証券会社のシステム側に指示の仕方に問題がある可能性も否定できない」という見解を示していた。しかし、その後の調査で「証券会社の担当者にも聞いたが、証券会社のシステムに問題はなかった。またDoS攻撃でもないことが分かったため、取引所システムの監視機能の設定が障害原因だと結論付けた」(小林常務)とする。

 再発防止策としてJASDAQは、自動監視機能の待ち時間を10分に延長することにした。小林常務は、10分にした理由を「障害翌日に、自動停止の仕組みを解除し9日朝に受け付けた実データを処理した。結果、現在の取引所システムは5分あれば全データを処理できることが分かった。そこで、余裕を持たせて倍の10分にした」と説明した。

 ただし、JASDAQは今回の障害を重く見て、「今後は、市場自体が停止しないように、取引所システム全体を再検証し、抜本的な対策を打つ」(小林常務)ことも決めた。例えば、1銘柄に起因するシステム障害が、他の取り引きに影響しないような仕組みを想定しているという。

西村 崇=日経コンピュータ