マイクロソフトは3月末から、技術者向け認定資格制度「Microsoft Certified Professional(MCP)」の内容を一部改定し、実技試験を取り入れる。これまでは、MCPに関するすべての試験問題が選択式だった。「試験内容を実践的にすることで、即戦力となる人材を求める業界のニーズに応える」と、森田益成マーケティング本部マイクロソフトラーニング部長は説明する。

 実技試験を含むようになるのは、「70-290(Managing and Maintaining a Microsoft Windows Server 2003 Environment)」と「70-291(Implementing, Managing, and Maintaining a Microsoft Windows Server 2003 Network Infrastructure)」の2科目。従来の選択試験と組み合わせる形になる。これら2科目は、MCPの中でもITプロフェッショナル向けの資格である「マイクロソフト認定システムアドミニストレータ(MCSA)」と、その上級資格である「マイクロソフト認定システムエンジニア(MCSE)を取得するうえで必須となる。

 実技試験では、実機ではなく擬似ソフトを使用する。上記2科目の場合は、Windows Server 2003の擬似ソフトを使用する。擬似ソフトはWindows Server 2003の操作画面そっくりの動作をする。受講者が与えられた課題通りに擬似ソフトを操作できれば、加点される。

 実技試験を含めた場合でも、試験の受講方法は従来と同じだ。受講者はテスト・センターのパソコンを使って試験を受ける。選択問題はこれまで通り選択項目を受講者が画面上で選ぶ。実技問題の部分に画面を進めると、擬似ソフトが立ち上がる。「どの問題が実技試験になるか、実技問題と選択式がどれくらいの割合になるかは非公開」と中川ゆう子マーケティング本部 マイクロソフトラーニング部シニアマーケティングスペシャリストは説明する。

 日本国内でMCPの取得者は約15万人。MCSAとMCSE以外にも4種類の資格がある。MCSAを取得するためには4科目(うち上記2科目を含む3科目が必須)、MCSEは7科目(同6科目)の試験に受かる必要がある。

 マイクロソフトは米国本社の意向もあり、MCPをより実務に役に立つ資格になるよう変更している最中。今回の実務試験の導入は、その一環である。MCPの強化策として、マイクロソフト日本法人は今年2月、マーケティング本部にマイクロソフトラーニング部を新設した。IT業界がどのような資格を望んでいるか、資格を取得する技術者が何を求めているかを探るのが狙い。米国本社と協調しながら、そのニーズを資格に反映していく。

 同社はMCPの取得者だけでなく、これからMCPを取得しようとしている技術者に対しても支援を強化する方針だ。例えば、技術者のスキル習得を支援するツールの提供を考えている。技術者はこのツールで、この先どのようなスキルの取得が必要かを判断したり、どのような学習計画を立てることができる。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ