CDやDVDを扱う音楽・映像ソフト業界は2月4日、現在実施中のICタグ実験の様子を報道向けに公開した。この実験は日本レコード協会や日本映像ソフト協会など4団体が共同で、経済産業省の委託事業として進めているもの。ICタグによって物流の効率化や顧客サービスの質の向上が可能かどうか検証している。

 日本レコード協会などは、CDショップ「新星堂 国分寺駅ビル店」で実施している実験を公開した。新星堂では音楽CDのケースに13.56MHzのICタグを付けて、大きく三つの用途を想定して実験を行っている。

 一つは、商品別に人気を把握する用途である。商品棚にリーダーのアンテナを設置。CDを棚から取り出すたびにICタグの情報をコンピュータに記録して、棚から取り出された回数をCDのタイトル別に管理する。このデータから、「取り出された回数が多いCDは人気がある」と判断して品揃えに反映できる。

 二つ目は、CDのアーティストの付加情報を提供する用途。携帯電話に接続して使う小型リーダーでICタグの情報を読み取ると、そのCDのアーティストの情報を掲載した携帯電話用Webページに自動でアクセスする。将来的には、購入したCDのICタグに「清算済み」データを書き込むことを想定しており、その情報を読み込んだ場合はコンサートの優待チケットなどの特典情報が掲載された購入者専用のWebページを表示する。

 三つ目は、CDの試聴機の操作を容易にする用途。ICタグを試聴機の所定の場所にかざすと、そのCDの楽曲を試聴機の画面に一覧表示する。利用者は気に入った曲名をタッチパネルに触れるだけで試聴できる。

 日本レコード協会などは2月10日にレンタルCDショップ「TSUTAYA馬事公苑店」で、レンタルCDの返却業務の効率化に関する実験の様子を公開する。

栗原 雅=日経コンピュータ