NECは2月2日、システム異常検知ソフトの新版「WebSAM ASManager Ver2.0」を発売した。システムの異変を検知する際に、従来のしきい値に加えて、監視結果の統計値と現在値を比較した結果を使うのが特徴。価格は137万円からで、5月末に出荷する。

 ASManagerは、サーバーの負荷が増加したり障害が発生した際に、ネットワークで接続した別のサーバーに処理を分散させてシステムの信頼性を維持する「ビジネス・グリッド」を実現するミドルウエアの一つ。システムの動作状況を常時監視し、異常を検知したときは「どの処理をどのコンピュータにどれだけ割り振るべきか」などを自動的に判断する。

 同製品の前バージョンでは、システムの動作が異常かどうかの判断に使う「しきい値」を手動で設定する必要があった。そのため、システム管理者が想定していない異変が起きた場合はそれを察知できず、他のシステム資源に処理を分散できないという問題があった。Ver2.0では、厳密に「しきい値」を設定しなくても、統計値を使うことで想定していない異変を検知しやすくした。

 NECはASManagerのバージョンアップに合わせ、システムの利用形態に合わせて製品や構築サービスを組み合わせた「ビジネスグリッド構築スイート」も提供する。その第1弾として、データセンター内の異なるシステム間でビジネス・グリッドを実現する「サーバ共有モデル」を2月2日に発売した。価格は1490万円からで、7月末から提供する。

 NECは今後もビジネス・グリッド関連製品やサービスを強化する。2005年度第3四半期(2005年10-12月)には、離れたデータセンター間でサーバーやストレージなどのシステム資源を融通し合うビジネス・グリッド向けミドルウエア「WebSAM GlobalGridOrganizer」を発売。同第4四半期(2006年1-3月)には、ビジネス・グリッド構築スイートの第2弾となる「災害広域対策モデル」を発売する。被災発生時に遠隔地でシステムを継続して利用可能にする。

(目次 康男=日経コンピュータ)