ERPパッケージ(統合業務パッケージ)ベンダーのワークスアプリケーションズは2月2日、起業家を資金面で支援する「一人シリコンバレー創業プロジェクト」を発表した。対象は、業務用ソフトあるいは人材/会計/ソフト・サービスと関連のある事業領域で、新たに事業を立ち上げたいと考えている個人。会社やチームの応募も可能だが、「2005年4月末までに39歳以下」という年齢制限がある。募集期間は2月2日から4月末までで、その後書類審査やプレゼンテーション、面接を経て、数件の事業を決定する計画だ。

 ワークスアプリケーションズの狙いは、プロジェクトを通じて立ち上がったベンチャーを将来的に同社の子会社または事業部として統合することで、同社の事業を拡大することにある。応募条件として、上記の年齢や対象領域に加えて、(1)対象とする顧客が、ワークスアプリケーションズと同じく大企業・中堅企業である、(2)技術・サービスに独自性があり、下請け構造の事業ではない、(3)自社で開発したサービスや商品を販売する事業である、の3項目を挙げている。プロジェクトの対象となるベンチャーは、約3年の間に事業を軌道に乗せることが求められる。

 一人シリコンバレー創業プロジェクトは、ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO(最高経営責任者)が長年暖めていた構想である。「日本にはベンチャー企業が育つ土俵がないことに、牧野CEOは以前から不満を抱いていた。ワークスアプリケーションズを立ち上げる際に、銀行やベンチャー・キャピタル(VC)からなかなか資金を借りられなかったことも、プロジェクトを立ち上げた理由ではないか」と、同社の関係者は話す。

 同プロジェクトの出資金額は、事業1件当たり1000万円から1億円を予定している。まずワークスアプリケーションズが出資し、追加出資が必要な場合はジャフコやグロービス・キャピタル・パートナーズ、レオス・キャピタルワークスなどのVCが資金を提供する予定だ。ワークスアプリケーションズもVCも出資した場合は社外取締役を派遣するが、経営には関与しないとしている。

島田 優子=日経コンピュータ