ジャストシステムのワープロ・ソフト「一太郎」とグラフィック・ソフト「花子」に対し、製造・販売の中止と製品の破棄を命じる判決が出た。松下電器産業が「ワープロ・ソフトの操作方法を説明するヘルプ機能についての特許を侵害された」として2002年秋から訴えていたもので、東京地方裁判所が2月1日、松下の訴えをほぼ全面的に認める判決を下した。

 松下電器が主張していた特許は、ワープロ・ソフトなどでヘルプ・アイコンを指定し、別のアイコンを指し示すと、そのアイコンの機能の説明を表示するというもの。1989年10月に特許出願し、91年6月に公開された(特開平3-144719)。98年7月に成立している(特許番号2803236)。松下電器は「過去に行った事業の中で取得した特許の一つ。特許は重要な資産と考えており、知財保護の観点から訴訟した」(同社広報)。ただ同社は、同特許の侵害について「現在のところ、ジャストシステム製品以外は把握していない」(同)としており、一太郎・花子以外の製品への影響は不明。

 一太郎は85年8月に発売された製品で“国産ワープロ・ソフト”として一時代を築いたものの、米マイクロソフト製ワープロ・ソフトWORDの日本語対応や販売戦略に押され、最近は守勢に回っていた。この2月10日には最新版の一太郎2005の発売を控えていた。

松浦 龍夫=日経コンピュータ

2月2日付記:上記記事のタイトル「特許侵害で「一太郎」、「花子」に製造・販売中止と廃棄命令」中の「命令」は、法律用語としてではなく、一般的な「命じる」の意味で使っています。法律用語としての「命令」は強制力を有する表現になりますが、今回の判決には仮執行宣言が付されていません。このことを勘案すると、「特許侵害で「一太郎」、「花子」に製造・販売中止と廃棄を命じる判決」のほうが、より厳密な表現となります。(日経コンピュータ編集)