松下電器産業が、2007年3月までにシステム運用コストを、2004年3月末時点に比べて年間110億円削減する目標を掲げていることが分かった。そのために、昨年4月から進めているEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)活動を強化する。同社のEA活動は、松下版EA「経営ITアーキテクチャ(CITA)」として知られている。

 CITAの特徴は、独自の物差しでEA活動の進捗状況を明確にしていること。具体的には、業務プロセス(ビジネス)、データ、アプリケーション、テクノロジ(IT基盤)といった各分野について、EA活動の進捗度合いを数値化している。2007年3月末までに年間110億円を削減するための目標値は、プロセスが38%、データが60%、アプリケーションが67%、テクノロジは100%である。

 現時点の進ちょく状況は、テクノロジの33%が最も進んでおり、データは22%、アプリケーションは27%、業務プロセスは10%と最も低い。松下電器の取り組みからは、業務プロセスの全社最適化が困難な作業であることがうかがえる。

 同社自身、業務プロセス改善が課題だとの認識から、業務プロセスの洗い出しとあるべき姿をできるだけ早く規定するための組織体制を強化する。業務プロセスの標準化を推進する専門組織を作り、「プロセス総括責任者」と呼ぶ担当者を新たに置く。プロセス統括責任者に就くのは、14の事業ドメインの役員クラスと、松下電器でCIO(最高情報責任者)を務める牧田孝衛氏になる模様。

戸川 尚樹=日経コンピュータ