東芝は、携帯電話からパソコンを遠隔操作するシステム「ユビキタスビューア」を開発した。携帯電話にパソコン画面の一部を映し出し、番号ボタンや十字キーを使ってパソコンで稼働するアプリケーションを操作できる。4月にも製品化し、一般企業や通信サービス事業者に売り込む。

 ユビキタスビューアの用途としては、外出先でのオフィスワークやパソコンの遠隔保守などが考えられる。「ノート・パソコンをわざわざ持ち歩く必要はなく、歩きながらでも操作できる。実際、いくつかの企業から引き合いがある」(ソフトウェア技術センター技術開発第二担当の清水伸夫主査)という。

 Webサイトやパソコンのファイルを閲覧する携帯電話はこれまでもあったが、「パソコンのすべての操作を遠隔からできる仕組みは世界初」(同社)。当初はKDDI(au)の携帯電話「W21シリーズ」向けに提供する。これ以外の機種では利用できない。ソフトを動かすために携帯電話の搭載メモリーが3Mバイト以上必要なためだ。NTTドコモやボーダーフォンの携帯電話向けについては、4月以降、順次開発・提供する考え。

 ユビキタスビューアのシステムは、(1)携帯電話に搭載してパソコンの画面を閲覧・操作するソフト、(2)制御対象のパソコンに搭載して操作命令を実行したり画面を携帯電話に送信するソフト、(3)パソコンと携帯電話の間のやり取りを中継するゲートウエイ・ソフトから構成される。

 ゲートウエイはインターネット・セグメントに設置。携帯電話からのアクセスを受け付け、社内のパソコンに操作命令を中継する。パソコンからは、ゲートウエイを介して携帯電話に画面情報を返信する。社内のパソコンとゲートウエイの間は、いわゆるSSL-VPNと同様に社内のパソコンからWebアクセスと同じプロトコルを使ってゲートウエイに接続するため、ファイアウォールの設定を変える必要はない。

 携帯電話には、パソコンの画面の一部がQVGAで表示されるため、画面を見ながら遠隔操作するには慣れが必要だ。ユビキタスビューアでは、起動したアプリケーションの画面に自動的に切り替わったり、操作を単純化する独自のショートカット・キーを多数搭載するといった工夫をすることで、操作性を向上している。

目次 康男=日経コンピュータ