総務省は2月中旬、国内IT産業が抱える課題と政策の必要性を探る研究会「情報フロンティア研究会(仮称)」を発足する。6月までに報告書をまとめる見込みだ。

 2004年12月26日に「総務省がオフショア開発契約のガイドラインを策定する研究会を発足」という新聞報道があったが、情報フロンティア研究会がその実態である。ただし、「報道にあったような「“オフショア開発のガイドライン”まで策定する」かどうかは決まっていない。たぶん現実的ではないだろう」と情報通信政策局情報通信政策課の内藤茂雄課長補佐は打ち明ける。

 同研究会では、主に次のような分野について議論する。(1)オフショア開発が及ぼす国内IT産業への影響と対処策、(2)SOA(サービス指向アーキテクチャ)を社会全体に広める方策、(3)レガシー・マイグレーションの推進政策、(4)グリッド・コンピューティングやPtoP(ピア・ツー・ピア)の可能性、(5)通信・放送の融合に関する実態把握などである。

 総務省は2004年3月から12月にかけて、ユビキタスネット社会(u-Japan)の実現を目指す政策懇談会を開催してきた。しかし、「具体策まで落とし込むことができなかった」(内藤課長補佐)。その積み残しを解消するために、新たに研究会を設けることにした。

 研究会のメンバーは、実務や業界の実態を熟知している民間企業の部課長クラスを中心に構成する予定だ。「前回の研究会は経営層クラスが多いこともあり、総論的な内容が多くなってしまった」(同氏)という反省をふまえてのことだ。

 オフショア開発に関する項目など、研究会の議論内容の一部は、総務省より経済産業省の管轄に見える。これに対し内藤課長補佐は、「総務省は広くIT産業界を管轄しているわけではないが、経済産業省とは異なる視点で、思い切った提言ができるのではないか」と語る。

目次 康男=日経コンピュータ