サン・マイクロシステムズは2月から、最新版OS「Solaris10」を普及させるため、これまでと違ったプリセールス活動を始める。プリセールス活動の名称は「WallStreet Initiative」。既存顧客のSolaris10へのバージョンアップ促進と、Solarisユーザーの新規開拓を目指す。WindowsやLinuxへのリプレースを食い止めるための施策でもある。

 WallStreetと名付けたことからうかがえるように、このプリセールス活動の主対象は銀行や生損保、証券などの金融ユーザー。米国では2004年9月から実施しており、それを国内で展開する。

 WallStreet Initiativeの特徴は、「金融ユーザーの目の前でSolaris10の信頼性や処理性能、可用性の高さを披露すること」(サンの伏見竜介金融営業統括部統括部長)。具体的なやり方はこうだ。サンの営業担当者とSEが金融ユーザーのシステム・センターに出向く。顧客企業で実際に動いている業務アプリケーションをSolaris10搭載機に移植。伏見統括部長は「顧客の目の前で、Solaris10の性能・機能の高さを実証し、導入を促す」と意気込む。

 業務アプリケーションのSolaris10搭載機への移植にかかる期間は、従来版Solarisで業務アプリケーションを動かしているかどうかで変わる。目安は「2週間から3カ月程度」(伏見統括部長)という。業務アプリケーションの移植ノウハウは、現在米国で蓄積・整理している最中である。

 WallStreet Initiativeはプリセールス活動であるため、無償で実施する。「デモ・システムを構築するため、それなりの手間とコストがかかる」(伏見統括部長)ため、成約できないとなれば、サンにとっては厳しい。すでに、国内の金融ユーザー10社から引き合いがあり、デモ披露の準備に取り掛かっている模様。当面はサンの既存ユーザーをターゲットにする。

戸川 尚樹=日経コンピュータ