年末年始の休業日を利用した金融機関のシステム刷新が、順調に終わった。勘定系や情報系の移行に臨んだ池田銀行、岩手銀行、山形銀行、西日本シティ銀行は1月4日午後2時現在、「新システムは順調に稼働している。ATM(現金自動預け払い機)の動作にも問題ない」としている。銀行間のATMをつなぐ「統合ATM」の刷新に伴うトラブルが相次いだ昨年とは打って変わって、今年は現在のところ大きなトラブルは報告されていない。

 池田銀行と岩手銀行は、NTTデータが提供する共同システム「地銀共同センター」を利用開始した。地銀共同センターの利用行は、京都銀行(利用開始は昨年1月)、千葉興業銀行(同10月)と合わせて4行となった。

 地銀共同センターは、日立製作所のメインフレーム上でNTTデータが開発した業務パッケージ「BeSTA」を動作かす。池田銀行は、日立メインフレームと同社製パッケージ「EXPERT」による既存システムから、岩手銀行は、NEC製メインフレームから、それぞれ地銀共同センターに移行した。

 一方、山形銀行が使い始めたのは、八十二銀行と日本IBMが手がける「じゅうだん会共同版システム」。八十二銀行と阿波銀行に続き、3行目の利用開始である。山形銀行はこれまで、IBM製メインフレームで自行専用のシステムを稼働させてきた。

 西日本シティ銀行は、旧西日本銀行と旧福岡シティ銀行との合併に伴うシステム統合を無事終えた。新システムは、日立製作所製メインフレームとNTTデータの業務パッケージを中核とする西日本銀行のシステムを存続させ、IBM製メインフレームを使った福岡シティ銀行のシステムが持つ一部の機能を盛り込んだ。合併は昨年10月に実施していたが、システムは安全性を重視して年末年始に切り替えるスケジュールで準備を進めてきた。

 なお、システム統合がすべて完了したメガバンクや、8年ぶりのシステム移行を昨年実施した日本郵政公社の郵便貯金システムでは、大きな切り替えはなかった。

大和田 尚孝=日経コンピュータ