「多くの米国企業がICタグに飛びついたように見えるかも知れないが、実際には仕方がなくICタグの導入を進めている企業が多い」。米SSAグローバルでICタグ関連事業を担当するコリーン・バウム ソリューション・マネジャはこう語る。SSAグローバルは、米デルモンテ・フーズや3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)業者の米ディーシー・ロジスティクスにICタグ・システムの導入実績がある。

 バウム氏によると、米国では今、ICタグの導入が山場を迎えている。世界最大の小売業である米ウォルマート・ストアーズが、2005年1月から約100社の主要サプライヤに対し、納入する製品のケースやパレットにICタグの取り付けを義務づけるからだ。サプライヤ各社は“締め切り”に間に合わせるべく、ICタグを取り付ける業務の流れやICタグのデータを処理するシステムの整備を進めている。

 米プロクター・アンド・ギャンブルや米デルモンテなど名だたる企業がICタグの導入を進めていることから、国内のICタグ関係者の間では「店舗における欠品防止や、輸送中の商品の紛失防止といった面で、米国企業は相当な投資対効果を見込んでいる」と見る向きがあった。しかしバウム氏は、「現時点では米国でも投資を回収できるメドが立っている企業は少ない」と明かす。多くの企業は嫌々ICタグを導入しているというのが本音のようだ。

栗原 雅=日経コンピュータ