DDIポケットは12月21日、PHSデータ通信サービスのロードマップを明らかにした。まず、2005年2月2日に予定している社名変更(新社名はWILLCOM)を機に、256kビット/秒の高速サービスを打ち出す。データ圧縮などにより通信時間を5分の1程度に短縮できるサービスも開始。今後1~2年のうちには、体感で数Mビット/秒のサービスを提供する計画だ。

 2月2日に開始予定のデータ通信サービスは二つある。通信速度を高めた「エアエッジ[プロ]」と、データ圧縮などにより体感速度を高める「メガプラス」である。エアエッジ[プロ]は、通信時に8チャネル(1チャネルは32kビット/秒)を同時に利用して256kビット/秒を実現するサービス。現状では、4チャネルを同時に使った128kビット/秒が上限である。エアエッジ[プロ]のサービス開始と同時に、パケット通信方式の呼称を「Nxパケット方式」(Nはチャネル数)に変更する。例えばエアエッジ[プロ]は「8xパケット方式」である。

 もう一つのメガプラスは、Webページの画像やテキストを圧縮するなどして、画面表示にかかる時間を短縮するサービス。従来から提供している「トルネードweb」と同様のサービスで、クライアント・パソコンに専用ソフトを搭載。DDIポケットが運営する専用プロキシを介してインターネットに接続する。このプロキシで、データ圧縮などの処理を実行することで、PHSデータ通信での通信時間を短縮する。今回、メガプラスでは、より高性能な圧縮アルゴリズムを採用した専用ソフト利用する。さらに、サービス開始にあたって専用ソフトをチューニングアップした。同社の実験結果によると、通信時間は最大で約5分の1になる。メガプラスは、エアエッジ[プロ]のほか、同社のWebサイトなどから専用ソフトを入手すれば、現状のサービスとも併用できる。

 同社はさらに、今後1~2年の間に、二つのアプローチで高速化を図る。ポイントは変調方式の多値化とマルチチャネル化である。多値変調は、1回の変調で複数のビットを同時に送信する変調方式。現状のエアエッジは一度に2ビット(4値)送れるQPSK(PSKは位相偏移変調)を採用しているが、今後は、3ビット(8値)の8PSK、4ビット(16値)の16QAM(QAMは直交振幅変調)、6ビット(64値)の64QAMを順次導入する。それぞれ、通信速度はQPSKの1.5倍、2倍、3倍に高まる。多チャネル化では、8xを超える12x、16xを視野に入れる。16xパケット方式が実現されれば、変調方式がQPSKのままでも伝送速度は512kビット/秒、64QAMなら1.5Mビット/秒に達する。メガプラスと併用することで、ユーザーは数Mビット/秒相当の通信環境を手に入れられることになる。

 エアエッジ[プロ]とメガプラスはどちらも有料サービス。ただし、具体的な料金は明らかにしてない。8チャネルを同時に使うエアエッジ[プロ]は、4xの2倍のリソースを使う。このため、コストを積み上げると料金はほぼ2倍ということになるが、実際の料金は、ユーザーの声を聞きながら決めるという。メガプラスは2005年7月末まで無料キャンペーンを実施する。

河井 保博=日経コンピュータ