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ミリオン・フェイスの主要メンバー アムネスティ・インターナショナル日本、オックスファム・ジャパンなど五つの人権擁護団体は12月18日、拳銃をはじめとする小型武器の国際取引を規制する条約の締結を国連に求めるキャンペーン「ミリオン・フェイス」を日本で開始する(写真)。カメラ付き携帯電話などで撮影した顔写真の署名すなわち「顔署名」を集めるというのが、その内容。専用Webサイトで、12月18日午後2時から受け付けを始める。

 ミリオン・フェイスは、アムネスティ・インターナショナル、オックスファム、国際小型武器行動ネットワーク(IANSA)という三つの国際的人権擁護団体が、武器規制運動の一環として2003年10月に始めたもの。目的は、2006年7月に国連で開催予定の小型武器に関する会議において、「武器貿易条約」の締結を嘆願すること。武器貿易条約は、拳銃やライフル、対空砲、地雷といった小型武器が国際的に拡散するのを防ぐために、国連が締結の検討を進めている。2006年7月の会議で、締結するかどうかの最終判断を下す予定だ。

 「世界では、年間50万人が拳銃やライフル銃を中心とする小型武器の犠牲になっている。犠牲を減らす手段のひとつが、武器の過度な流通を防ぐこと。武器の輸出入を行っている国々に対して規制を求めるために、国際的な武器取引の規制となる条約の締結が不可欠だ」。オックスファム・ジャパンの山田太雲アドボカシー・オフィサーは、武器貿易条約の重要性をこう説明する。

 ミリオン・フェイスではこの会議に合わせて、世界から100万人の顔署名を集めるのが目標。集めた顔署名は、武器貿易条約締結の嘆願に使うのに加えて、全員分の顔署名を印刷してパネルに張り、2006年の会議開催時に国連本部付近で公開することも検討している。「世界中から集めた顔署名を見せることで、条約締結に対する要望がいかに多いかをアピールできる」(山田氏)。すでに、全世界で20万9000人の顔署名が集まっている。映画監督のマイケル・ムーア氏や、ロックバンド「グリーン・デイ」のメンバー3人も署名しているという。

 今回、日本で立ち上げるWebサイトでは、パソコンからだけでなく、携帯電話からも顔署名を受け付けられるようにした。「こうすれば、手軽に顔署名運動に参加してもらえると考えた」(山田氏)。Webサイト上で、アルファベット表記の氏名、メール・アドレスなどを入力し、顔写真の画像データを登録すると、署名が完了する。顔写真を、サイトが用意する「人影」や似顔絵で代用することも可能。顔の画像と氏名のうちの名だけが、顔署名として利用される。

 参加しているのは、アムネスティ・インターナショナル日本、オックスファム・ジャパンのほか、インターバンド、テラ・ルネッサンス、ネットワーク『地球村』の計5団体。Webサイトに加えて、街頭やイベントを通して署名運動を展開し、2006年7月までに国内で10万人の署名を集めることを目指す。

西村 崇=日経コンピュータ