日本オラクルは12月16日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)関連の強化を図ったWebアプリケーション・サーバーの新版「Oracle Application Server 10g Release 2 (以下OAS10gR2)」を、2005年2月25日をメドに提供開始すると発表した。

 ビジネス・プロセスを画面上で設計するためのツールや、ビジネス・プロセスの実行状況を監視するためのツールを追加し、Webサービスの開発から実行状況の管理までをカバーする(写真)。「J2EEのプラットフォームとしては後れを取ったが、SOAのプラットフォームとしてはデファクト・スタンダードの位置づけを狙う」と同社マーケティング本部の西脇資哲担当ディレクターは意気込みを語る。

 SOAの開発・実行環境として、各種標準仕様を採用した。Webサービスを渡る処理の流れを定義するビジネス・プロセスの表記法は、モデル表記法の標準化団体である米BPMIが作成した「BPMN(Business Process Modeling Notation)」を利用できる。BPMNで作成したモデル図から、ビジネス・プロセス実行のための言語である「BPEL(Business Process Execution Language)」を生成する。BPELは、XML関連の標準化団体であるOASISが標準化を進めている仕様である。

 競合する他社製品と比べた優位性について、西脇担当ディレクターは「既存システムとの接続機能を充実させた。他社製品はWebサービス同士だけの接続機能しか提供していない」と主張する。OAS10gR2は、新たに他社データベースやERPパッケージなどとの接続機能を備えた。接続機能のうちの一つである「InterConnect」を使えば、例えばMS SQL Serverで構築したデータベースに、データの変更があったかどうかを一定間隔でチェックして、変更があったデータをOracle Databaseのデータベースに反映する、といったことが可能になる。開発作業は、用意するパラメータの設定だけで済む。双方向の送信やデータの変換が可能である。

 InterConnectは、米オラクルがいま力を入れているデータ統合用ソフト「Data Hub」の基盤技術としても使われている。Data Hubは、同社の基幹業務パッケージの「Oracle E-Business Suite(EBS)」のデータ・モデルを顧客関連や製品関連など部分的に利用し、それをハブとして他社製基幹業務パッケージのデータを連携するものだ。そのデータ接続部分にInterConnectを用いている。

 12月7に米国で開催されたカンファレンス「Oracle OpenWolrd」では、データベース・ソフトの新版「Oracle Database 10g Release 2」など多くの発表があったが、今回は「Oracle Application Serverに関する発表や講演が最も多かった」(西脇担当マネージャー)という。OAS10gR2の新機能の数は、432にも上る。これまでAPサーバー分野では今ひとつシェアが伸びなかったオラクルだが、SOAの強化を機会にシェアの獲得を狙う。

森側 真一=日経コンピュータ