「決着がつくのは来年末になりそうだ」。米ザSCOグループのダール・マクブライド社長兼CEO(最高経営責任者)は、昨年3月に米IBMをUNIXのライセンス契約違反で訴えた訴訟の見通しをこう語った(関連記事)。来年11月に陪審員による審議が始まり、5週間の審議を経て判決が出るという。SCOは、同社が所有するオリジナルUNIXのソース・コードの一部を、IBMが無断でLinuxに提供したと主張している。来年末に出る判決で、SCOが現在持つと主張するオリジナルUNIXの著作権をLinuxが侵害しているのかどうかがはっきりする。

 陪審員による審議はもともと来年4月に開始される予定だったが、IBM側の都合で来年11月に延期された。すでに1度延期されているため、再度延期されることはないという。どのような結論になるかの見通しについてマクブライドCEOは「予測を語るのは弁護士から止められているが、陪審員制度では(陪審員の心証のいかんで)どちらが勝つ結果もありうる」と語った。

 Linuxを敵に回している格好のSCOだが、マクブライドCEOは「我々はオープンソース自体を敵視しているわけではない」と強調する。例えば、同社のUNIX製品である「OpenServer」は、来年3月に出荷を予定している新製品でオープンソースのデータベース管理システム(DBMS)であるMySQLとPostgreSQLをサポートする。これらのDBMSは、同社のもう一つのUNIX製品であるUnixWareでは動作するが、OpenServerでは動作しなかった。「オープンソースにはいいところもあり、そうした点は積極的に利用していきたい。危険なのは、一部のコミュニティに見られる『すべてのソフトはフリーになるべき』という主張だ。こうした思想はソフトウエア業界に悪影響を与える」と同氏は従来からの持論を展開した。

 ちなみに、SCOはLinuxユーザー向けにLinux使用権のライセンスを行っているが、現在は新たにライセンスを受けるユーザーはほとんどいないという。「ユーザーは訴訟の結果を見てから判断しようと待っている状態だ」(マクブライドCEO)。

大森 敏行=日経コンピュータ