「製品の品質からサポート体制まで今後もなんら変わらない」。日本IBMの理事を務める向井宏之PC&プリンティング事業部長は12月13日、米IBMと聯想集団との提携について記者会見の場でこう宣言した(関連記事)。

 向井事業部長は「まだ先週グローバル・レベルで提携が決まった段階で、各国法人の方針は検討段階」としながらも、今後の国内事業の見通しを語った。まず、商法による会社分割制度を適用し、日本IBMのパソコン事業に従事する約600人を新会社に移籍する。新会社は聯想集団の日本法人の位置付けで、経営、営業・マーケティング、研究・開発、製造など日本IBMのパソコン事業を移管する。移籍する人員には、同社の大和研究所に所属するノート・パソコン「Think Pad」の研究・開発者を含む。

 向井事業部長は新会社に事業主体が移ったとしても、顧客窓口、各種サービス、製品品質などは従来どおりだと強調した。「新会社への移籍後も、営業担当者は従来の顧客を受け持つので、お客様に対する窓口は会社名以外変わらない」。販売代理店に対しては、「会社が変わるので、契約自体はやり直してもらう必要がある。しかし、契約内容を変えるつもりはない」と明言。保守サービスや保証は従来どおりIBMのサービス部隊が担当し、製品品質も「これまでのレベルを維持する」と語った。

 従来のIBM製品に対しては、明確に「変わらない」と主張する一方、聯想集団の製品をどう販売していくかについてはまだ確定していない部分が多い。「聯想集団の製品とIBMの製品をどうブランディングしていくか、聯想集団のコンシューマ向け製品をどう販売していくかなどは新会社が決めていくことになる」と向井事業部長は語る。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ