写真提供:AFTIS

 「韓国には携帯電話の開発などを経験した技能の高いエンジニアがいる。コンピュータ・サイエンスを学んだ学生も多い。現在、家電製品などの製造コストの約3割は製品に組み込まれているソフトの価格だと言われている。能力のあるエンジニアを低価格で採用できれば、最終的には製品の価格競争力の向上につながる。日本企業は、韓国に開発拠点を持つことのメリットを考えて欲しい」。

 こう訴えるのは、韓国の全国経済人聨合会(全経聨、FKI)の副会長・李龍兌氏(写真)だ。今回、李氏は韓国政府が来年度から実施する海外ハイテク産業誘致助成事業の説明を兼ねて来日した。

 この助成事業は、韓国側が用意する施設などを利用してハイテク関連技術の研究開発を行う企業に対して、新たに雇用する韓国人技術者1人への人件費を政府が負担するもの。最初の2年間については、年俸3000万ウォン(約300万円)を上限としてその80%を、3年目以降の3年間は年俸の50%を、韓国政府が助成する。助成対象人数は一つの研究所につき100人を上限とする。さらに、助成の対象となる韓国人技術者に対する教育訓練や技術指導を実施する人材に対しても年俸や滞在費の一部を政府が助成する。さらに税制上のメリットも用意した。

 この助成事業のメリットについて、李副会長は「日本の企業は低コストで韓国のエンジニアを採用できるし、韓国は学生に職を与え、能力の高いエンジニアを育成することができる。両国にとってWin-Winを実現するものだ」と話す。

(中村 建助=日経コンピュータ)