11月30日、電子自治体が抱える根本的な問題に正面から取り組む試みが始まった。総務省の「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」のもとに発足した「データ標準化WG(ワーキンググループ)」である。学識経験者や自治体のIT担当者、総務省がメンバーとなり、自治体間のシステム連携をより円滑にすることを目指しXMLタグ設計のルール策定と設計作業を実施する。座長は中央青山監査法人の松尾 明氏が務める。

 データ様式がバラバラという状況は、電子自治体の発展を妨げる根本原因と指摘されてきた(詳細は日経コンピュータ2004年9月20日号「電子自治体が難航 共同利用に黄信号」を参照)。魅力ある新サービスを生み出すのには、自治体内、自治体間、自治体・企業間でシステム連携が必要になる。だが、データ様式がバラバラだと、システム連携のたびにデータ変換が必要になってしまう。システム間でデータを受け渡す際に、自治体の担当者が手作業でデータを再入力・整形作業を実施しているケースもよくあるという。

 今回の取り組みで評価できるのは、全国の自治体がデータ標準化WGの成果をオーソライズする仕組みを作ったこと。総務省が事務局となり、全国知事会、全国市長会、全国町村会、総務省の代表メンバーからなる「データ標準化推進地方公共団体協議会」を設置した。この協議会がデータ標準化WGの成果を承認することで、空中分解を防ぐのが狙いだ。

広岡 延隆=日経コンピュータ