ソフト開発ベンチャーのフラクタリストは、NAT越しにSIP(Session Initiation Protocol)を使って通信できるミドルウエア「SIP UA SDK」を開発した。グローバルIPを持たない機器同士が、接続しているISPやLANの違いを越えて直接ピア・ツー・ピア通信できる。出荷は来年2月の予定。

 IP電話機、監視カメラ、ハードディスク・レコーダといった機器に組み込むことを想定している。例えば、IP電話機に組み込むことで、海外に多くの拠点を持つ企業がインターネットを介してIP電話による内線電話網を構築できるようになる。対戦ゲームやチャット・ソフトなどのパソコン用アプリケーションに組み込む用途もある。

 SIP UA SDKを使うことで、企業のLANや家庭内ネットワークのプライベートIPにまつわる問題を解消できる。プライベートIPはグローバルIPとは異なり、インターネット側からローカル・ネットワーク内の機器を呼び出すのが困難。一般に、異なるLANやISPの傘下にある機器同士は直接接続できないので、インターネット上に中継サーバーを用意する必要がある。この場合、すべてのデータが中継サーバーを通過するため、動画や音声を扱う場合には、負荷がかかる中継サーバーのコストが高くなりがちだった。そこで、SIP UA SDKは「セッション管理サーバー」でハンドシェイクを行った後、端末間で直接ピア・ツー・ピア通信する仕組みを採用した。

本間 純=日経コンピュータ