NAS(ネットワーク接続型ストレージ)最大手の日本ネットワーク・アプライアンスは11月18日、NAS専用に開発した同社OSの新版である「Data ONTAP 7G(写真)」の提供を開始した。大きな変更点は二つ。一つは、きょう体内のハードディスクを仮想化して、サーバーやアプリケーションごとに割り当てた容量をシステムの稼動中でも変更できるようにしたこと。もう一つは、読み書き可能なデータベースのイメージ・コピーを瞬時に作成する機能を追加したことだ。同社はそれぞれの機能を「FlexVol」、「FlexClone」と呼ぶ。

 米ネットワーク・アプライアンスのトム・チン アジア・パシフィック担当バイスプレジデントは、「FlexVolを使うことで、ユーザー企業はストレージの容量を有効に活用できる」という。あるサーバーの割り当て容量が不足したら、容量に余裕があるサーバー用のディスク領域を振り分けるといった運用が可能になるからだ。

 従来は割り当て容量を変更するには、HDDを新たに買い足したり、HDDを追加する際にシステムを止めたりしなければならずコストと手間がかかっていた。その上、「これまではHDD何個分という単位でしか、容量を分けられなかった。データ量がほとんどないシステム・ログを保存する場合でも、数百GバイトもあるHDDを専用で一つ割り振る必要があり、ディスクを効果的に利用できなかった。新版によってディスクに依存しない設定が可能になった」(日本法人の鈴木康正社長)と説明する。

 FlexCloneは、データベースのイメージ・コピーを瞬時に作成する。その上、イメージ・コピーのデータでありながら、新たなデータを追加したり変更したりすることが可能だ。鈴木社長は、「FlexCloneを使えば、システム開発プロジェクトで試験環境を時間とコストをかけずに構築できる。今までは、試験環境を構築しようとすると既存システムのデータを丸ごとコピーしなければならず、大容量のストレージが必要になる上に、コピーするのに何時間、何十時間もかかっていた」という。

 ONTAP 7Gは同社製のNASサーバーに標準で付く。「旧版のOSを利用しているユーザーは無償でアップグレード可能」(チン バイスプレジデント)という。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)