日本テレコムは11月16日、約130Km/hと高速で走行する電車からのインターネット接続実験に成功したと発表した。無線LAN(IEEE802.11g)を使い、沿線に設置したアクセス・ポイントと列車を結んだ。理論上は時速500km/hでも接続できるという。

 実験は今年7月から11月まで、JR北海道が新千歳空港~札幌間で運行している「快速エアポート」の一部区間で実施した。線路沿いの1~2kmおきにアクセス・ポイントを設置、列車の運転席には円盤状の指向性アンテナを用意した。見通しの良い場所で約15Mビット/秒、それ以外でも8Mビット/秒の実効速度が得られた。

 実験は、無線LANによる車内でのインターネット接続サービスを想定したもの。併せて、走行中に運転席の車窓風景をIPカメラで撮影しリアルタイムでJR北海道本社に配信する実験やIP電話で通話する実験も実施した。いずれも画像や音声や途切れることはなかったという。

 日本テレコムは今回の実験にあたり、接続先のアクセス・ポイントを高速で切り替えるハンドオーバー技術を開発した。複数のIPアドレスをシームレスに切り替えて使う技術も独自開発した。今後は冬場の凍結などを想定し、機器の耐久性確保が課題となる。実用化時期は顧客となる鉄道各社の意向によるが、日本テレコムは1~2年後をめどに技術を確立したい意向である。

本間 純=日経コンピュータ