BIOSメーカー大手のフェニックス テクノロジーズは11月11日、クライアント・パソコンのデータを保護するソフト「Phoenix FirstWare Recover Pro 2004」を発表した。パソコンのデータを同じハードディスクにバックアップし、ディスクからデータを復旧できるようにする。

 FirstWareはハードディスクにWindowsOSとは別のOSでデータ領域を作成し、その領域にデータをバックアップする。この領域を「cME(シーミー)環境」と呼ぶ。そのため、WindowsOSが起動しないといった問題が起きても、独自のコンソール画面からデータ復旧が可能だ。

 同社の野口俊行カスタマー ソリューションズ エンジニアリング本部次長はメリットとして、「独自OS上にデータを保存するので安全性が高い」ことを挙げる。cME環境にバックアップしたデータは、FirstWareを使わなければ変更したり削除したりすることができない。

 これにより、WindowsOSのウイルスにバックアップ・データが感染してしまったり、ユーザーのうっかりミスでバックアップ・データを削除してしまうといったことが起きない。野口次長は「自動的に問題を検知してデータを修復する機能や認証機能などを備える。BIOSメーカーとしての技術を生かした」と自信を見せる。

 また「操作の容易さにもこだわった。通常時の差分バックアップは、ワン・クリックで実行可能。CD-RやDVD-Rといったメディアが必要ないため、バックアップと復旧が素早く簡単にできる」(野口次長)という。ただし、ハードディスクが壊れた場合のために、CD-RやDVD-Rなどにバックアップ・データを保存する機能も備える。

 動作OSはWindows2000/XP。「他社製のBIOSを使っているパソコンでも利用可能。ただし認証など一部の機能が使えない」(野口次長)。

 「FirstWareの販売方法や出荷時期については販売代理店と交渉している段階。年明けには出荷したい。価格は5000円以下になる」(同社の松島努社長)という。同社はFirstWareを戦略的製品と位置づけている。

 松島社長は、「現在、当社の売り上げはBIOS関連がほとんどで、アプリケーション・ソフトの売り上げは10%しかない。今後はFirstWareなどのアプリケーション・ソフトを前面に出し40%まで増やす」と意気込む。

鈴木 孝知=日経コンピュータ