日本コンピュウェアは、IT投資の意思決定や管理のためのITガバナンス用ソフトの「Compuware IT Governace by Changepoint(ITG)」を、来年4月に発売開始する。米コンピュウェアのエグゼクティブ・バイスプレジデントのジェリー・スミス氏は、「米国企業改革法(サーベンス・オクスリー法)が施行されてから財務への透明性が求められ、IT投資管理へのCIO(最高情報責任者)のプレッシャーが増した。それによって最近ITGが急激に売れ始めた」と述べる。米国では1996年に出荷開始し、約150社が導入済み。主に、薬品会社、保険会社、銀行での導入が多い。

 日本におけるニーズに対し、スミス氏は「日本のユーザー企業は高い品質を求める文化がある。高品質を維持するには、体系的にプロジェクトや人を管理する必要がある」と語った。ITGが持つプロジェクト管理機能にニーズがあるとの見方だ。また日本コンピュウェアの梨澤利隆代表取締役は、「すでに金融と製造業の会社から引き合いがあった。その金融会社は、多くのプロジェクトを同時に進めるなか、各プロジェクトで何をやっているか把握できずに失敗するのは許されない状況から必要とした」と説明する。

 ITGを導入すれば、すぐに活用できるようになるわけではない。ITGは投資評価やプロジェクト管理など多くの機能を備えており、それらを既存のIT投資における意思決定やプロジェクト管理のプロセスとすり合わせる必要がある。この作業には、投資の意思決定や管理をどうすべきかを決めなければならない。そのためのコンサルティングが必要で、「導入開始から稼働までに約8カ月かかる」とスミス氏はいう。例えば、リスクや価値などから多角的に投資を判断するためのポートフォリオ機能がある。この機能では、投資の価値を何で測るか、どのシステムからどういうタイミングでデータを取得するかなどを決めてから、ITGで設定する必要がある。

 ITGは、カナダのチェンジポイントが開発した製品で、今年4月にコンピュウェアがチェンジポイントを買収した。競合製品としては、米マーキュリー・インタラクティブの「Mercury IT Governance Center」や米IBMの「PMOffice Enterprise」などがある。日本でもIT投資効果に対する経営者の目が厳しくなっている状況から、ITガバナンス用ソフトへの注目が高まると見られる。

森側 真一=日経コンピュータ