日本IBMは11月4日、ソフトウエア開発ツール群「Rational」の製品体系を刷新すると発表した。新製品群の名称は「Rational Software Development Platform」で、開発コード名「Atlantic」と呼ばれていたもの。「今回は米IBMが米ラショナルソフトウェアを買収してから初の大規模な新製品の投入になる。業界標準技術のサポート範囲を広げると同時にIBM製品との統合を強化した」と日本IBMソフトウエア事業Rational事業部の宮橋一郎事業部長は説明する。

 Rational Software Development Platformは七つの新製品で構成する。従来、「WebSphere Studio」ブランドで販売していた二つのJava開発ツールをRationalブランドに統合した。「WebSphere Studio Application Developer」は「IBM Rational Application Developer for WebSphere Software」に、「WebSphere Studio Site Developer」は「IBM Rational Web Developer for WebSphere Software」になる。

 そのほかに、分析・設計者向けのモデリング・開発ツール「IBM Rational Software Modeler」と「IBM Rational Software Architect」、テスト担当者向けツール「IBM Rational Manual Tester」と「IBM Rational Functional Tester」を追加した。「各製品とも最新の標準技術やプラットフォームに対応している」(日本IBMソフトウエア事業Rational事業部の渡辺隆ブランドマネージャー)。これら6製品を一つのパッケージにした「Rational Professional Bundle」も用意した。

 モデリング・開発ツールの最上位製品であるSoftware Architectは、UML(統一モデリング言語)の最新版「UML2.0」に対応した。「Software Architectを利用すれば、モデル駆動アーキテクチャ(MDA)に準拠した開発ができるようになる」と渡辺ブランドマネージャーは強調する。MDAはモデルを中心にソフトウエアを開発する手法。Software ArchitectはUMLで記述したモデルからJavaやC++のソース・コードを自動生成できる。

 これらの製品は全て、オープンソースの統合開発環境「Eclipse3.0」のプラグインとして利用する。「Eclipseのプラグインとなったことで、システムの設計からテストまでのソフトウエア開発の全てのフェーズが同じ環境でできる」と宮橋事業部長は利点を強調する。

 価格は14万3000円~100万1000円(1年間のバージョンアップ費用や保守料金を含む)。出荷はダウンロード版が12月4日から、CD-ROM版が2005年1月7日から。

島田 優子=日経コンピュータ