パワードコム、東芝、東京電力は12月1日、DVDレコーダ向けの動画配信サービス「ひかり de DVD」の試験提供を開始する。DVDタイトルに収められた動画や音声を丸ごと光ファイバ回線で配信する。その場限りの視聴しかできない従来のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスと異なり、動画や音声をDVD-RAMに書き込んで保存できる。今年8月に業界団体が策定した著作権保護技術を使うことで実現した。11月2日から、東京電力の光ファイバ接続サービス「TEPCOひかり」に加入済みまたは加入予定のモニター1000人を募集し、来年3月31日まで継続する。

 光ファイバを使った高画質の動画配信サービスは、既にNTTコミュニケーションズ、KDDIなども手掛けている。しかし、いずれも専用のセットトップ・ボックスを使っており、市販のDVDレコーダを使って自宅で記録型DVDに書き込めるタイプのサービスは提供できなかった。これまでは著作権保護技術が未熟で、映画会社などの同意が得られなかったためだ。

 ひかり de DVDでは、東芝が開発した著作権保護システムを使い、暗号化したコンテンツを配信する。再生する際には、センター側からネットワーク経由で鍵データを受け取り複号する。DVDの著作権保護技術に関する標準化団体「4C Entity」が今年8月に策定した「CPRM for Network Download」仕様に基づいている。同団体には東芝、松下電器産業、米IBM、米インテルが参加している。

 今回の試験サービスでは、パワードコムが動画配信サーバーや課金システムを運用する。東芝が著作権保護システムやDVDレコーダーの開発、東京電力が家庭向け光ファイバ回線の提供を担当した。角川映画、ギャガ・コミュニケーションズなど19社が、映画など約300タイトルを提供する。

 ただし、試験サービスを利用するには、TEPCOへの加入のほか、東芝製のDVDレコーダ「RD-X4TP」(税込み7万3290円)を購入することが条件となる。7日間の有効期限内のみ再生できる「レンタル方式」と、無期限で視聴できる「セル方式」がある。価格は、レンタル方式で210~420円、セル方式で980円~3150円。パワードコムは来年度の事業化を目指す。

本間 純=日経コンピュータ