「アジアは自動車や鉄鋼、船舶を全世界に輸出してきた。一方、ソフトのほとんどは欧米のものだ。日本、中国と協力することで、全世界にアジア産ソフトを広めていきたい」。日中の企業が共同で開発しているLinuxディストリビューション「Asianux(アジアナックス)」の開発にこのほど参加した韓国ハーンソフトのカン・ティージン副社長は、10月26日に都内で開かれた説明会でこう語った。

 韓国では現在、Linuxはあまり普及していない。例えば、サーバー市場でのLinuxのシェアは、全世界では23%なのに対し、韓国では8.7%しかないという。「逆に言えば、それだけLinuxの成長の余地があるということだ」(カン副社長)。

 Asianuxは現在、ミラクルリナックスと中国のレッドフラッグ・ソフトウエアが共同開発している。今年6月にAsianux 1.0を公開し、これを基にミラクルリナックスが「MIRACLE LINUX V3.0」、レッドフラッグが「Red Flag AS 4.1」として製品化した。

 3社は来年1月から次期バージョンAsianux 2.0の共同開発を開始し、9月に公開する予定。これを基に、ハーンソフトは「Haansoft Linux 2005」、レッドフラッグは「Red Flag AS 4.2」、ミラクル・リナックスは「MIRACLE LINUX V4.0」として製品化する。

 ハーンソフトのワードプロセッサ「Hangul」は、韓国で70%のシェアを誇る。また同社には、Javaで動作しLinuxでも利用できるオフィス・ソフト「ThinkFree Office」という製品もある。Asianuxの共同開発では、こうした製品の開発でつちかった韓国語処理技術での貢献が期待されている。

大森 敏行=日経コンピュータ