「日本でもITILに注目が集まり、ITサービス管理に対する関心が高まりつつある。しかしITサービスをみるだけは不十分」。米ヒューレット・パッカード(HP)のトッド・デローター氏は手厳しい。HPのバイス・プレジデント兼ゼネラル・マネジャで運用管理ソフトを担当する同氏は、「システムの投資コストが妥当かどうかが厳しく問われる昨今、ITサービスを実業務と結びつけ、当初期待していた効果が出ているかを評価する仕組みも必要」と指摘する。

 HP日本法人は来年半ばまでに、運用管理ソフト群OpenViewの新しいソフト製品として「HP OpenView Business Process Insight(BPI)」を出荷する。特徴は、管理対象のシステムの処理能力が、システム利用者が業務を進める上で、制約になっていないかどうかを調べられること。「システムが担当する一連の業務処理のうち、どの処理が問題で、業務を停滞させているかを突き止められる」とデローター氏は説明する。

 海外ではすでにBPIを先行導入して効果を挙げた事例が出てきた。スイスの通信事業者、スイスコムはBPIを使って現行システムの処理がスムーズに行われているかどうかをチェックした。その結果、新規顧客の受付業務を担当するシステムの処理に問題があることがわかったという。

 BPIが検知した問題個所は、信用情報を扱う他社システムに問い合わせる処理。問い合わせ件数のうち、4分の1の照会がうまくいっておらず、業務が滞りがちになっていたことがBPIを使って明らかになった。スイスコムのシステム担当者は、信用情報を扱う会社に協力を要請したうえで、照会処理がスムーズにいくよう改善したという。

西村 崇=日経コンピュータ