首都圏で食品スーパーを展開するサミットは11月、ICタグを利用したレシピ配信システム「タッチでメニュー」の実運用を開始する。顧客が店舗内に掲示してあるポスターにICタグをかざすと、事前に登録した携帯電話やパソコンのアドレス宛てに、電子メールで料理レシピを送信するというもの。オススメ商品と料理レシピをリンクさせることで、商品の販売促進に役立てる。利用するICタグはキーホルダ状で、店舗で会員登録した顧客に配布する(写真)。食品スーパーでICタグを実運用するのはサミットが初めて。新規開店する東京都杉並区の善福寺店から運用を開始、2005年3月までにもう1店舗に導入する。

 サミットは各店舗に、料理レシピを書いたしおりを設置している。ただし人気のある料理レシピはすぐになくなり、補充が追い付かない状況だった。そこで目を付けたのがICタグと携帯電話。この二つを組み合わせることで、「料理レシピの品切れを解消するとともに、顧客の欲しい情報を欲しいタイミングで送ることができる」(サミット営業企画部の赤迫伸一営業企画グループマネジャー)と考えた。料理レシピを電子メールで配信することで、提供内容を毎日変えることも可能になった。

 同社は今年2月から5月まで、埼玉県川口市内の川口エルザタワー店でレシピ配信システムをテストし、顧客の反応を検証していた。「95%のお客様から役に立ったとの回答をいただくなど、反応は上々だった。パケット代を負担することへの抵抗も少ないという結果が出た」(赤迫マネジャー)。同社はこれを受けて、善福寺店での本稼働を決めた。

 ICタグではなく、QRコードの読み取りにより料理レシピを配信することも検討したが、「QRコードを読める携帯電話の機種が限定されることや、読み取りに時間がかかることから、ICタグの方が利便性が高いと判断した」(赤迫マネジャー)。同社は料理のレシピだけでなく、魚のさばき方といった情報も配信する予定だ。

松浦 龍夫=日経コンピュータ