米グーグルは年内に東京・渋谷の日本法人内に研究開発拠点を開設する。10月18日、創業者のラリー・ペイジ氏(製品部門担当社長、写真左)とサーゲイ・ブリン氏(技術部門担当社長、写真右)が来日。日本で同社の研究開発体制を強化していく方針を説明した。

 同社は、検索エンジンの精度で米マイクロソフトや米ヤフーを圧倒してきた。ところが最近は、ライバル各社が対抗技術を急ピッチで開発。激しい追撃を受けている。このため、同社にとって研究開発力の強化は最大の課題になっている。ブリン氏は「ブロードバンドやモバイルで先行する日本に開発拠点を置くことで、米国などに比べ数年進んだ技術を開発できる」と、東京で開発体制を強化するメリットを強調した。例えば、米国では10月6日、携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)のユーザー向けに、ビジネス情報や辞書機能などを提供するサービスを開始。ブリン氏は「既に日本で提供しているiモード向け検索サービスの経験が生きた」という。

 今後、グーグルは日本で第3世代携帯電話(3G)や情報家電の動向をにらみ、これらに対応したサービスを開発する。2バイト言語への対応も重要なテーマ。東京では自然言語解析の専門家などを雇い入れて、検索精度を向上させていくと見られる。

 このほか、ペイジ氏は、同社が10月14日に提供したファイル検索ソフト「Google Desktop Search」のベータ版についてコメントした。Google Desktop Searchは、パソコン内の電子メールやWordファイル、チャット履歴などの内容を横断的に検索できるツール。同様の機能はマイクロソフトが次期OS「Longhorn(コードネーム)」に搭載する予定だが、ペイジ氏は「ライバルの動向に関わらず、我々は一歩先にユーザーの望む機能を実現する」と自信を見せる。

 独自のWebブラウザを開発しているのではないかとの憶測を呼んだ「gbrowser.com」ドメインの取得については、「Gmailと同様、今後Web関連サービスを展開するためのドメイン取得だ。独自ブラウザの計画はない」(ブリン氏)とした。

本間 純=日経コンピュータ