[画像のクリックで拡大表示]

きっとエイエスピーの松田社長 「マイクロソフトの標準技術を使うことが、必ずしもユーザー企業のためになるとは限らない。そうすることで見捨てられてしまう企業は少なくない」。サーバーサイド・コンピューティング(SSC)構築ソフト「GO-Global」を販売する、きっとエイエスピーの松田利夫社長(写真)はこう指摘する。

 SSCとは、クライアント・アプリケーションの処理をサーバー側の仮想OSで実行し、クライアント側に画面情報だけを転送する仕組み。各クライアントにアプリケーションを導入する必要がないため、運用管理の負荷を軽減できるといったメリットがある。GO-GlobalのようなSSC構築ソフトを使えば、既存のアプリケーションをそのままSSCの形で利用できる。

 ただし通常は、Windows環境のSSCを実現する際に、マイクロソフトが提供するWindowsのSSC機能「Terminal Services」を利用する必要がある。松田社長が問題視するのはこの点だ。「Terminal Servicesの仮想OSでは、Visual Basic 4.0など古い開発ソフトで作成したアプリケーションや、Windows 95など古いOS向けのアプリケーションが動かないことがよくある。ユーザー企業が『これらのアプリケーションをSSC環境で使いたい』と希望しても、マイクロソフトはサポート切れしたソフトを動作保証をしないので、泣き寝入りするしかなかった」(松田社長)。

 この問題を解決するため、GO-GlobalはTerminal Servicesを使わず、独自技術を使ってSSCを実現している。これにより、古いWindowsアプリケーションを利用可能にしたほか、応答速度などのパフォーマンスもTerminal Servicesより向上させた。マイクロソフトの技術に依存していないため、プログラムの問題を独自に修正できるメリットもある。「GO-Global上で動作しないという問題が発覚した場合は、2週間程度で解決策を提示できるようにする。これまでSSCの導入をあきらめていた企業のためにも、できる限り要望に応えたい」と松田社長は力説する。

 GO-Globalは米GraphOnが開発し、きっとエイエスピーが昨年2月から販売している。10月14日には、新版3.0の出荷を開始した。従来は、主にパートナー企業を通じて特定用途向けに販売していたが、3.0からより一般向けに拡販していく。Windows版の「GO-Global 3.0 for Windows」では、Windows NT/2000/XP/2003対応のアプリケーションが利用できる。Windows 95/98/Meが動作するモジュールは年内に提供する計画だ。Linux上やUNIX上でSSCを実現する「同for UNIX/Linux」も併せて発売する。Windows版と組み合わせて利用することで、Windows端末上でLinuxやUNIXアプリケーションを利用したり、LinuxやUNIX上でWindowsアプリケーションを利用できる。

 価格は、5ユーザー当たり14万8000円。ユーザー認証用のサーバー1台あたり5万円。このほか、WindowsやLinux、UNIXのライセンス費用が別途必要となる。

目次 康男=日経コンピュータ