米アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者、写真)が10月12日、日本での玩具販売開始を機に来日した。発表会の席上、同氏は「競争相手を気にしない」、「派手な広告はしない」など、独自の商売哲学を貫いたことが日本での成功につながったと強調した。

 アマゾンの日本法人、アマゾン ジャパンは約4年前の2000年11月、電子商取引(EC)サイトを開設した。現在、1年以内に商品を購入したアクティブ顧客の数は380万人で、取り扱い商品点数は700万点。現在までに7四半期連続の黒字を達成している。

 成功の理由について、ベゾスCEOは「競争相手の動向に振り回されず、忠実に顧客第一主義を貫いてきたこと」を挙げた。同氏が創業以来のポリシーとしてきたのは「低価格」、「品ぞろえ」、「利便性」の三つ。日本でも他の国と同様、顧客にとっての普遍的な価値を追求してきたという。「米アマゾンは従業員が120人しかいない頃から、3万人規模のライバルに立ち向かってきた。従業員には『ライバルを恐れるな、顧客を恐れろ』と繰り返してきた」(同氏)。

 ベゾスCEOは「国ごとの規制や商習慣の違いはマイナーな問題だ」と言う。日本では再販制度が書籍の割引き販売を妨げてきたが、アマゾンは1500円以上の商品購入で送料を無料にしたり、代引き手数料を198円に値下げするといった方法で顧客にメリットを提供してきた。「広告に金を使うくらいなら顧客に還元すべきだ。新球団だって? ウチにはいらないよ、ハッハッハ」(同氏)。

 アマゾン ジャパンが10月12日、クリスマス商戦をにらんで開設した「おもちゃ&ホビー」ストアでは、子供向けの知育玩具や大人向けのプラモデルなど、約120社のメーカーから2万点の商品を揃えた。最大30%引きで販売する。見やすさに配慮し、人気キャラクタや年齢による商品ブラウズ画面を備える。

 なお、米アマゾンはこれまで米トイザらスと共同で玩具販売を展開してきた。現在、トイザらスから「独占販売契約を破り、他社から仕入れた商品を数多く販売している」との提訴を受けて係争中だ。この問題についてベゾス氏は「トイザらスとの関係は米国内のみ。日本では日本トイザらスとの関係はない。アマゾン ジャパンが主体的に商品を調達、販売していく」と語った。

本間 純=日経コンピュータ