日本ピープルソフトは9月30日、CRM(顧客関係管理)アプリケーション群の新版「PeopleSoft Enterprise カスタマ リレーションシップ マネジメント8.9(PeopleSoft CRM8.9)」を発表した。金融業向けなど4モジュールを追加したほか、操作性の改善など製品の各所を強化した。「1999年から出荷している当社のCRMソフト史上、最も大きなバージョンアップ」(米ピープルソフトの日本・アジア パシフィック プロダクト&インダストリ ソリューションディレクターのレイ・クロス氏)という。11月2日から出荷する。

 PeopleSoft CRM8.9は金融業向けに2モジュールを追加した。一つは金融業に必要なクライアント管理簿や投資プランの作成といった機能を持つ「ウェルス マネジメント」。もう一つは、コールセンターなどで応対する際に、顧客情報をリアルタイムに分析してオペレータに対応すべき内容を示す「プリスクリティブ アナリティクス」である。プリスクリティブ アナリティクスは金融業以外のCRMシステムにも利用できる。

 日本ピープルソフト執行役員の村上智営業統括本部長は金融業に狙いを定めた理由を、「規制緩和でCRMシステムを導入する企業が相次いでいるため」と説明する。「金融業界における競争相手は、他社のパッケージ・ソフトではなく、ユーザーがすでに持っている手組みのシステム。そこで当社は複数のシステムを統合できるパッケージの優位性を強調して拡販する」。

 このほかPeopleSoft CRM8.9金融業に限らない、すべてのユーザーに向けた2モジュールを追加した。取引先や代理店の募集からトレーニングなど、パートナの管理に関する業務を支援する「パートナ リレーションシップマネジメント」と、部門間で顧客のセグメントやマーケティング戦略を共有して顧客ごとの収益性を測定する「カスタマ ポートフォリオ マネジメント」である。

島田 優子=日経コンピュータ