「当社の目標は、たとえコンピュータについて詳しく知らない人でも、手軽にインターネットを利用できるようにすること。そうなれば、インターネットを使ったサービス産業は発展していくはずだ」。こう語るのは、米モーティブのスコット・ハーモンCEO(最高経営責任者)だ。

 モーティブは1997年に設立以来、パソコンのセットアップを支援するソフトや、パソコンに不具合が発生したときにパソコンの状況を診断し、診断結果を基に復旧作業を支援するソフトを開発してきた。設立以来、コンピュータ・ベンダーやサービス事業者などを対象に、3000件以上の開発を手がけてきた。例えば米スリーコムや英ブリティッシュ・テレコム、米ヒューレット・パッカード(HP)、富士通といった企業が、同社のソフトを採用し、顧客に提供している。

 同社の技術はこのほど、Yahoo!BBのセットアップ用CD-ROMにも組み込まれた。Yahoo!BBに初めて接続するユーザーが、セットアップ用のCD-ROMをパソコンに入れると、モデムの設置やケーブルの配線の仕方がイラストつきでパソコンの画面に表示される。大きな特徴は、ユーザーがケーブルをパソコンに正しく接続せずに、次の作業に取り掛かろうとすると、接続を促すメッセージを表示する機能を備えていることだ。このほか、別の企業では、モーディブの技術を組み込んだソフトをWebサイトで公開し、必要に応じて顧客にダウンロードしてもらうようにしている。オンライン・ヘルプデスクのような仕組みを構築することも可能だ。

 「企業ユーザーは、当社のソフトを採用することで、顧客からの問い合わせ件数を削減できる」とハーモン氏は説明する。ある米国の企業では毎年、10億~100億ドルのヘルプデスク・サポート費用を削減できたという。「問い合わせ件数が減れば、ヘルプデスクの担当者が応対する機会を減らせる。応対件数が減れば、担当者の応対の仕方のよしあしが問題になることが少なくなる。そうなると、『コールセンターの担当者の応対が悪い』といって解約する顧客数を減らすことにつながる」とハーモン氏は指摘する。

西村 崇=日経コンピュータ