写真1●台車を手でつかんで指定された場所に運ぶ

 富士通研究所と富士通フロンテックは9月13日、家庭やオフィスなどで作業支援を行うパーソナル・ロボット「富士通サービスロボット(仮称)」を発表した。富士通研究所が開発、富士通フロンテックが2005年6月をメドに販売を開始する。

 富士通研究所の内山隆取締役ペリフェラルシステム研究所長ストレージシステム研究所長は、「パーソナル・ロボットのなかでもオフィスや商業施設で活動するロボットを目指した。企業での受付、空港での案内や荷物運び、博物館での見学者誘導といったことを考えている」という。

 富士通サービスロボットは頭部が上下左右に動くほか、人間の肩や肘、手首に当たる腕の部分が4カ所曲がる。手でモノをつかむといった動作も可能。コミュニケーションにかかわる機能として、人の音声を認識して動作したり、音声を発して人に注意を促したりする機能を持つ。

 発表会の席では台車を手でつかんで指定された場所に運ぶ(写真1)、エレベータ・ボタンを押してエレベータに乗る(写真2)、自分で充電場所に行って充電するといったデモンストレーションを行った。

 他のパーソナル・ロボットとの違いは、「四つのカメラを使って、立体視ができるようにした。これにより人や障害物を認識し、障害物との距離を測りながら移動できる」(富士通研究所の駒田聡ペリフェラルシステム研究所自律システム研究部長)ことである。他のパーソナル・ロボットは、赤外線センサーや超音波センサーを使って障害物を認識することが多い。

 寸法は幅(肩幅)644×奥行566×高さ1300mm。本体の重量は63kg。「スリム化や軽い材料の採用によって、商品化する時には30kgくらいにできる」(駒田部長)。アプリケーション用のOSにはWindows XP embededを採用。TFT液晶のタッチパネルで設定、操作する(写真3)。無線LAN機能を備えており、「ロボットのカメラが捕らえた画像を管理者に送ったり、遠隔操作するといったことも可能だ」(内田取締役)。

 富士通フロンテックの花谷清和常務取締役は、「量産化できるようになったら、価格を200万円程度に抑えたい。当初はもう少し高いかもしれない」とする。

 富士通グループはこれまで研究機関用、家庭用のロボットを開発しており、研究機関用の2足歩行ロボット「HOAP-1」を2001年9月から、改良版の「HOAP-2」と家庭用ロボット「MARON-1」を2003年3月から販売している。内山取締役は、「これまで富士通は研究機関用と家庭用と二つの市場に向けたロボットを作った。富士通サービスロボットは、その二つの市場の中間に当たるオフィス向けのロボットとして1年半前から開発を進めていた」と語る。

鈴木 孝知=日経コンピュータ

写真2●ボタンを押してエレベータに乗る
写真2●ボタンを押してエレベータに乗る

写真3●TFT液晶のタッチパネルで設定、操作する
写真3●TFT液晶のタッチパネルで設定、操作する