「プロセサのマルチコア化がデジタル・オフィスの問題を解決する」。米インテルでデスクトップ・プラットフォームを担当するビル・スー副社長は9月8日(米国時間)、米国サンフランシスコで開催している技術者会議「Intel Developer Forum, September 2004」のキーノートでこう語った。企業のデスクトップ・パソコンのプロセサがマルチコアになり性能が向上することで、企業のIT環境(インテルは「デジタル・オフィス」と呼ぶ)が抱える問題が解決できるという。

 同氏は、現在のデジタル・オフィスは四つの問題を抱えていると指摘する。「膨大なコストとマンパワーがかかる、運用管理とセキュリティ確保」、「地理的に分散したユーザーによる共同作業の生産性向上」、「蓄積した膨大なデータの分析」、「モバイル環境での接続性の確保」である。このうち、2番目と3番目の問題がマルチコアによる性能の向上で解決できるとした。

 マルチコア・プロセサの試作品を使ったデモンストレーションも行った。地理的に離れたユーザーの共同作業の例である。複数のユーザーによるビデオ会議、CAD操作、音声の録音を同時に行った。こうした処理はマルチコア・プロセサでなければできないとした。

 スー副社長は、企業パソコンのプロセサには高い性能が必要だと一貫して主張している(関連記事)。ただ、企業ユーザーの間では「現行製品の性能で十分」との意見も根強い。

大森 敏行=日経コンピュータ 米サンフランシスコ発