日能研の児童ら104人分の個人情報が流出した問題で、事件に関与していた関連会社の社員が懲戒解雇されていたことが分かった。社内からの情報漏洩事件で、情報を持ち出した犯人が判明し懲戒解雇にまで至った例は珍しい。

 事件発覚当初から、情報の漏洩元は同社のシステム構築などを受託した関連会社エヌ・ティ・エス社内との見方が強かった。事件が発覚した8月23日から約1週間後の8月31日、本人が関与していたと告白したため、エヌ・ティ・エスは日能研に連絡。服務規程違反により同日付けで懲戒解雇した。日能研は、それまでに判明していた内容と犯人の供述内容の整合性を確認。9月7日に発表するに至った。持ち出した情報の内容が、児童の氏名や生年月日、性別、保護者の氏名などであることは確認できたという。

 ただし、犯人は個人情報を格納したデータベースを自由に利用できる権限は与えられておらず、いつどのように情報を持ち出したかは依然として不明。日能研は、今後も調査を続ける。また、「エヌ・ティ・エスはシステム運用に携わっているため、今日明日にも業者を変えるというわけにはいかないが、契約の見直しを進める」としている。

河井 保博=日経コンピュータ