米インテルのポール・オテリニ最高執行責任者(COO、写真左)は9月7日(米国時間)、米国サンフランシスコで開催している技術者会議「Intel Developer Forum, September 2004」のキーノートで、同社のマルチコアへの取り組みについて語った。マルチコアは、一つのプロセサ・パッケージに複数のプロセサ・コアを搭載して処理性能を上げる技術。コアが二つの場合をデュアルコアと呼ぶ。「2005年には、デスクトップ、サーバー、ノート用にそれぞれデュアルコアのプロセサを出荷する。2006年には、デスクトップの40%とノートの70%がデュアルコア、サーバーの85%がデュアル/マルチコアになる」(オテリニCOO)。

 キーノートでは、来年出荷予定のデュアルコアを搭載した次世代Itanium「Montecito(開発コード名)」の実機をデモンストレーションした(写真でオテリニCOOが手にしているのがMontecito)。同社がデュアルコアのプロセサをデモするのはこれが初めてである。

 Montecitoは二つのプロセサ・コアを搭載し、それぞれのコアが二つの仮想プロセサとして動作する。つまり、1個のMontecitoはOSからは4個のプロセサに見える。4個のMontecitoを搭載したサーバーのデモでは、OS上で16個のプロセサが認識されていた(写真右)。

 Montecitoでは、一つのコアにつき二つの仮想プロセサがそれぞれスレッドを実行する。Pentium 4が採用した「ハイパースレッディング・テクノロジ」に似ている。ただし、ハイパースレッディングは二つのスレッドを同時に実行するのに対し、Montecitoでは二つのスレッドを切り替えながら実行する。あるスレッドでキャッシュ・ミスなどによりアイドル時間が生じた場合、別のスレッドに切り替える。

 二つのコアのそれぞれは、1Mバイトの2次命令キャッシュと256Kバイトの2次データ・キャッシュ、12Mバイトの3次キャッシュを内蔵している。このため、トランジスタ数は17億2000万トランジスタに及ぶ。また、状況に応じて動的に動作電圧と動作周波数を変更する省電力技術「Foxton Technology」や複数のOSを同時に走らせるための仮想マシン技術「Silvervale Technology」も搭載する。

ItaniumとXeonのプラットフォームを共通化

 午後のキーノートでは、エンタープライズ向けプラットフォームを担当するアビ・タルウォーカー副社長がサーバー向けプロセサの今後のロードマップを公表した。

 来年から2006年にかけて、Montecitoに続きデュアルコアの次世代Xeon MP「Tulsa(開発コード名)」を出荷する。Montecitoの改良版である「Montvale(開発コード名)」も投入する。Montecitoが90nmプロセスで製造されるのに対し、Montvaleは65nmプロセスになる。

 さらに2007年以降に、4個以上のマルチコアを搭載するXeon MP「Whitefield(開発コード名)」とマルチコアのItanium「Tukwila(開発コード名)」を出荷する。これら二つのプロセサが共通して使えるプラットフォームを用意するという。

大森 敏行=日経コンピュータ 米サンフランシスコ発