EC(電子商取引)サイト大手の楽天は8月27日、個人向け無担保ローン事業を手がけるあおぞらカードを買収することを発表した。あおぞら銀行とオリックス・グループが保有する全株式を、9月下旬をメドに74億円で譲り受ける。金融事業における業務拡大が狙い。楽天の三木谷浩史社長は「あおぞらカードはインターネットを中心に無店舗で事業展開しており、当社の既存ビジネスとシナジー効果を発揮できる」と語る。

 楽天は金融分野への進出に意欲的だ。2003年12月にはインターネット証券のDLJディレクトSFG証券を買収したほか、2004年8月からは三井住友カードと提携し、クレジット・カードの「楽天カード」を発行し始めた。楽天カードはVISAの加盟店で使うと「楽天スーパーポイント」がたまり、ECサイトの「楽天市場」での買い物時にそのポイントを使えるというもの。「楽天カードによるクレジット事業に、あおぞらカードのカード・ローン事業を加えることで、いっそう金融関連事業の収益を拡大できる。楽天カードは基本的に楽天市場の利用者が対象だが、あおぞらカードはそれ以外の顧客層にも積極的にアピールする」(三木谷社長)という。

 9月下旬の時点では全株式を楽天が譲り受けるが、あおぞら銀行とオリックス・グループにはそれぞれ10%ずつあおぞらカードの株式を保有する権利が与えられる。そのため、「近いうちに楽天が80%、あおぞら銀行とオリックス・グループがそれぞれ10%という株式配分になる可能性はある」と三木谷社長は説明する。

 あおぞらカードの設立は2001年12月。年間8.7~17.8%という金利で貸し出していた。銀行のキャッシングに似た感覚で資金を借り入れることができることが特徴。従業員は23人。貸出残高は約197億円(2004年3月末時点)。

(日経コンピュータ=矢口 竜太郎)

日経コンピュータでは、10月14、15日の両日に、日経コンピュータ フォーラム2004を開催します。「今だからこそ押さえたい、IT投資&システム構築のツボ」を全体テーマに、合計五つのセッションを開催します。各セッションのテーマは、「実践プロジェクトマネジメント JAL/JAS統合 」、「IT予算管理の秘策」、「トラブルを未然に防ぐレビューの極意」、「ユーザーが語るITIL活用~実践!攻めの運用~」、「システム・トラブル全般の法的リスクと対処策」です。関心がおありの方は詳細をご確認の上、是非お申し込みください。