日本HP(ヒューレット・パッカード)と電気・建築工事を請け負うNTTファシリティーズは8月27日に、システムの構築・運用と、その際に必要となる電源や空調機器の設置・運用をワンストップで実施するサービスを開始する。電力・空調設備の不足によるシステム障害を防止するのが狙い。日本HPのサーバーやストレージを導入する際に、NTTファシリティーズの技術者が電気・空調設備、地震対策、サーバー・ルームへの侵入防止といった建物設備に関する診断と対策を実施する。

 「システムを導入する寸前になって、サーバー・ルームで使える電力が不足していることが判明。その結果、導入が大幅に遅れるというケースが少なからずある」。日本HPの正田(まさだ)三四郎エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部インダストリー スタンダード サーバー製品本部プロダクトマーケティング部部長は明かす。

 こうした電力の問題が特に起こりやすいのは、サーバーの更新時。「システムを新設する際には、電力・空調設備の調査をするのが普通。しかし同じシステムでサーバーを入れ替えるといった場合には、つい忘れてしまうことがある」(正田部長)。すると新しいサーバーによって消費電力が一気に上がると、電力が足らなくなったり空調が追いつかなくなり、サーバー・ルームの温度が上昇して、サーバーが落ちてしまうわけだ。

 この問題は以前から存在していたものの、「近年、より発生する可能性が高まっている」と、日本HPの石積尚幸常務執行役員テクノロジーソリューション事業統括は指摘する。サーバー・システムの消費電力や熱量が急激に増大しているからだ。「3年前と比べると、1ラックあたりの消費電力量や発熱量は約3倍に増えた。プロセサの処理速度が向上したことや、ブレード・サーバーの登場でラック当たりの集積度が上がったからだ」(正田部長)。

 そこで日本HPとNTTファシリティーズは手を組んで、サーバー導入時の電力・空調対策支援サービスに乗り出すことにした。「電力・空調設備事業者は、システムが止まった後で対処策の実施を依頼されることが多い。その際に、ユーザー企業のシステムがどの程度の電力を必要とするのか、サーバーがどういった配置になっているのかといったシステムに関する情報がないと、作業に時間がかかってしまう。問題を迅速に解決するには、当社のような電力・空調設備事業者とITベンダーとの連携が不可欠」。NTTファシリティーズの池辺裕昭常務取締役はこう主張する。

 両社は8月27日から10月末までをキャンペーン期間と位置付け、日本HPのブレード・サーバー「HP ProLiant BL20p/30p/40p」の導入を検討しているユーザーに無料の簡易診断を実施する。今回のサービスは当面、日本HPの製品に限定するが、NTTファシリティーズの池辺常務は「他のベンダーから提携の申し入れがあれば検討する」と話す。

鈴木 孝知=日経コンピュータ