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日本IBMのThinkCentre S50 ultra small 日本IBMは8月26日、デスクトップ・パソコンの新製品「ThinkCentre S50 ultra small(以下、S50)」を発表した。最大の特徴は、パソコン本体をディスプレイと重ねて机の上に置くスタイルを採用したこと(写真)。「省スペースと使いやすさの両立を目指した」(日本IBMの向井宏之PC&プリンティング事業部長)。8月30日に出荷する。価格は11万3400円(IBMの直販サイトの場合)から。

 パソコン本体を机の上に置くメリットについて、向井事業部長は次のように説明する。「オフィスでは本体を机の下に置くことが少なくないが、それではPDA(携帯情報端末)のようなUSB機器をパソコン本体につなぎにくい。DVDやCD-ROMの出し入れも一苦労だ。本体を机の上に置けば、USB機器の接続やDVDの出し入れも容易にできる」。

 本体を机の上に置く場合、最大のネックは場所を取ること。この問題を解決するために、S50では本体を幅276ミリ×奥行き273ミリと、「デスクトップ・パソコンで最も需要が大きい17インチ型液晶ディスプレイの台座として使える大きさに抑えた」(向井事業部長)。高さ89ミリの本体をディスプレイの下に置けば、「ディスプレイの設置位置が本体の分だけ高くなるので、画面がちょうどよい高さになるメリットもある」(同)という。

 本体内部の熱を冷却する空気の排出方向にも工夫を凝らした。通常は背面方向に排出するが、社員が向かい合わせで机を並べることが多いオフィス環境では、正面の社員に排気が直接かかってしまう。そこで、本体の背面からディスプレイの裏側を通して垂直方向に排気するアダプタを用意した。「熱排気を気にせず、本体をカベにくっつけて置くことも可能」(向井事業部長)。

 このほか、データの盗難防止といったセキュリティ対策を強化。トラブルが発生したときに、キー操作一つでトラブル前のシステム環境を復旧するツール「Rescue and Recovery with Rapid Restore」も搭載した。

 企業向けパソコンの市場では、デルが低価格戦略を武器に躍進を続けている。だが向井事業部長は「勝算あり」と見る。「パソコンにかかる4年間の総コスト(TCO)を調べると、本体の購入価格が占める割合は米国でわずか19%。日本でも30%ぐらいしかない。残りは購入後の保守サポートやバージョンアップ、故障の修理といった費用だ。障害復旧やセキュリティなどを強化した今回の新製品は、TCOで比べれば他社製品に決して負けない」。

 とはいえ本体の価格が高くては売れないので、「できるだけ下げたつもりだ」(向井事業部長)。さらなる値下げの余地について、向井事業部長は「具体的な値下げの幅は言えないが、新製品をできるだけ多くの人に使ってもらうチャンスを積極的に作っていきたい」と説明する。

 価格は、動作周波数2.53GHzのCeleron Dプロセサ、主記憶256MB、ハードディスク80GB、CD-ROMドライブを搭載したモデルで11万3400円(IBM直販サイトの場合、モニターは別売り)。OSはWindowsXP Professional。

大和田 尚孝=日経コンピュータ