「DNSを参照する時間が長いと感じる人はあまりいないはず」と、JPドメインを管理する日本レジストリサービス(JPRS)の堀田博文取締役企画本部長は、JPドメインの性能と安定性の高さを強調する。「これまでのJPRSの取り組みの結果だ。今後は各種料金の低廉化や、さらなる危機管理に努めたい」と意欲をみせる。

 JPRSは、2001年にJPドメインを管理/運営するために設立された株式会社。2002年に、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)から業務を移管した。当初は体制作りに追われたものの2002年以降は、JPドメイン名の登録手続きを簡略化したり、日本語JPドメインを利用するためのツールやサービスを充実させたりと、利便性の向上に力を入れた。応答性能向上や障害対策にも努め、DNS(ドメイン・ネーム・システム)サーバーを東京と大阪に分散化した。

 今後の施策として堀田氏は信頼性の向上をあげた。まずは、JPRSが経営困難な状況に陥った場合でもJPドメインを継続して利用できるように業務フローや体制を整備し、新しいドメイン管理システムを7月1日に稼働させた。万が一、JPRSの資産が差し押さえられてしまっても、JPRSに代わるほかの団体が、このドメイン管理システムとJPドメインのバックアップ・データを使ってすぐに運用を始められる。「ここまで危機管理を徹底させているのは、世界のレジストリ(ドメイン管理事業者)でもJPRSだけ」と、堀田氏は胸を張る。

 また、今年度中にJPドメインの新規登録料を値下げする。JPドメインは、「.com」や「.net」などのgTLD(一般トップ・レベル・ドメイン)と比較すると、年間で1000円~3000円程度割高なのが現状。利用開始1年目の場合、gTLDドメインなら4000円程度だが、JPドメインは8000円程度する。

 これについて堀田氏は「DNSの運用やドメイン管理業務を安定させるには、ある程度の人手が必要だった」と説明。ここに来て運用/管理が軌道に乗ったことから「効率化、システム化を進めてコストを下げる」。来年度は、登録更新料も下げる予定である。

 障害や攻撃への対策は今後も継続する。「現状考え得る規模のDDoS(分散型サービス妨害)攻撃には現状のシステムで耐えられるが、将来はどうなるかはわからない」と、堀田氏は警戒する。「ICタグや、メール送信者認証技術であるSender IDなど、DNSに大量のクエリーを発行する新技術にも対応していく必要がある」という。

(福田 崇男=日経コンピュータ)